HIGHLAND PARK SINGLE MALT SCOTCH WHISKY

EVENT REPORT

「新たなハイランドパークの世界へ、ようこそ。」 “Different by Nature Experience”イベントレポート

 2024年に本国スコットランドで鮮やかなリブランディングを遂げた、新生ハイランドパーク。そのスタイリッシュかつみずみずしいニューボトル&パッケージデザインは、ウィスキーの世界に新たな風を吹き込む予感に満ちています。今回、日本でのローンチイベントとなったのが、2025年4月15日(月)〜27日(日)にかけて原宿のイベントスペースで開催された「Different by Nature Experience」。大盛況のうちに幕を閉じた本イベントの詳細をレポートします。

原宿に、ヘザー香るオークニー島が出現!

 新生ハイランドパークのお披露目会場となったのは、原宿の目抜き通り近くにたたずむイベントスペース、「Gate(旧 UNKNOWN原宿)」。古民家を丸ごと改築したその外観は、ハイランドパークの新たなシグネチャーカラーで丸ごとラッピングされていました。

 ハイランドパークの故郷オークニー島の自然を構成するのは、次の4つのエレメント。海、湿原、ヘザーの花、そして空です。群青の海は、多層からなる大地のグリーンへと続き、島を象徴するヘザーの淡いパープルへ、最後に、雲を抱いた清々しいスカイブルーへと抜けていきます。その繊細なグラデーションは、春めいてきた通りを行く人々が思わず見上げるほどの華やかさ。白く抜かれた「HIGHLAND PARK」のロゴが、午後の日差しを受けて一際まばゆく輝いています。

 イベント会場に足を踏み入れた瞬間に鼻をくすぐるのは、爽やかなフローラルのアロマを乗せた風。来場者がオークニー島に上陸した感覚に浸れるよう、ヘザーに覆われた夢見るような平原に吹き渡る風をイメージした演出だといいます。

 会場内を回遊すると、ハイランドパークの新たなキービジュアルがそこかしこに並んでいます。日本でハイランドパークのブランドマネージャーを務める藤井 祐輝氏によれば、それらはすべてオークニー島で撮り下ろされたものなのだとか。中でも、島の風景をバックに凛とした姿でこちらを見つめる老齢の女性が目を引きます。藤井氏は、このパネルの女性についても次のように話してくれました。

 「今回、新生ハイランドパークに合わせてフィーチャーしたモデルたちは皆、地元オークニー島出身のアーティストの方々です。ブルーのスーツ姿が印象的なこの女性は、地元では誰もが知る名物ダンサー。また、日本からオークニーに移り住んだ版画アーティストもいるなど、この島には多くのアーティストが自然と集うクリエイティブな気風があるんです」

 藤井氏によれば、オークニー島はかつて北欧から進出してきたヴァイキングたちが住む島だったのだとか。スコットランド領として年月を経た今でもそのルーツへの誇りは高く、それが彼らの伝統的にして大胆不敵ともいえるスコッチづくりにつながっているのだといいます。
 「これまでのハイランドパークのイメージは、そのバックボーンでもあるヴァイキングらしさあふれる無骨なものでした。それに対して、新生ハイランドパークが打ち出すのは、遊び心にあふれ、クリエイティビティに満ちたストーリーです。スコッチウィスキーが持つ旧来の世界観から一歩足を踏み出すことで、新たな人々にその軽やかでクリエイティブなメッセージを届けていきたいと思っています」

 その言葉を裏づけるかのように、会場に集まった人たちもまた、ファッショナブルかつ力の抜けた雰囲気が魅力的な方々でした。若い女性から年配の紳士までが会場内のスタイリッシュかつリラックスした世界観に引き込まれ、新たなライフスタイルを打ち出すハイランドパークに惹かれる様子が伝わってきます。

イベント限定!野村 空人氏考案の
3種のオリジナルカクテル

 会場奥の階段を降りていくと、そこにはなんと専用のバースペースが。さまざまな酒齡のハイランドパーク(中には「ハイランドパーク40年」も!)やオリジナルカクテル、この日のために開発されたフードメニューが用意されています。今回は特に、オークニー島の自然からインスピレーションを受けたという3種のカクテルと2種類のフィンガーフードをご紹介していきましょう。

 今回、解説してくれたのは、カクテル・バー&スタジオ「Quarter Room」の野村空人さんにレシピを伝授されたバーテンダーの三好さん。
 「ロングタイプのカクテル『HEATHER(ヘザー)』のベースは、ハイランドパーク12年とエルダーフラワーの香りがするトニックウォーターです。そこにろ過してサラリとさせたグアバジュースを加え、アプリコットリキュールとグレナデンシロップを色づけ程度にほんの少し。ヘザーのドライフラワーを散らしたら、フランボワーズスプレーをひと吹きすれば出来上がりです」
 飲んでみると、フルーティさと花の香りがふわりと立ちのぼり、飲みやすさはダントツといったところ。ウィスキーを飲み慣れない人たちからの圧倒的な支持を得ることは間違いありません。

 2つ目の「AIR(エアー)」は、オークニーの爽やかな風をイメージしたカクテル。「ハイランドパーク12年に、ミントリキュールとジンジャーレモンティーをプラス。そこに台湾の山椒『マーガオ』を散らします。これにより、柑橘系のジュースには出せない爽快感を感じていただけます」
 真っ白な雲のようにグラスを覆うのは、甘みを加えたカモミールティーをフォーム状にしたもの。口に含んだ瞬間に消える泡と、爽やかな香りが余韻を残す洒脱なカクテルです。

 最後の「MOOR(ムーア)」は、ヘザーの湿地帯を意味するカクテル。「こちらは、ハイランドパーク12年とシェリー酒のアモンティリャードを使用しています。熟成した香りのアモンティリャードに『たんぽぽの根っこ』を漬け込み、そこに国産のカシスリキュールを加えました。」
 トッピングには、存在感あるドライ蓮根を。シェリー樽で熟成されたハイランドパーク12年とシェリー酒が相性抜群なのは言うまでもなく、ほんのりとした渋みが一層その華やかさを引き立てます。大地の力強さを思わせる、飲みごたえある一杯でした。

西麻布「AC HOUSE」の黒田シェフが挑む
旬の食材で魅せるフィンガーフード2種

 続いてご紹介するのは、ハイランドパークのフードアンバサダーでもある西麻布「AC HOUSE」のシェフ 黒田 敦喜氏が考案した2種類のフィンガーフード。一品目の「鰆と春野菜のタルト」について、黒田シェフは次のように解説します。

「こちらはハイランドパークに合うスモーキーさと、季節の花をイメージしたタルトです。旬の菜の花を焦がしてスモーキーさを加え、ナスのペーストと合わせました。コンフィで仕上げたホロホロ食感の鰆の上には、ハーブのマジョラムとディルを。最後に、食用花のアリッサをトッピングしました」タルトのサックリとした歯ざわりと、舌の上でほどける鰆の身、フレッシュなハーブの香りが一体となり、先述のカクテル「HEATHER」との相性が抜群の一品!

鰆と春野菜のタルト

続いては、見た目も愛らしい「桜チャイマカロン」。中にはスパイスが効いたチャイにほうじ茶を合わせ、チョコレートガナッシュに練り込んだクリームが入っています。「ハイランドパークは華やかな甘みが特徴的なので、スイーツもそのインパクトに負けないものを、と考えました。スパイスの刺激と、マカロンのねっとりとした歯ざわりがその味わいをさらに引き立ててくれるはず。マカロンの中には、桜と苺のコンフィチュールも隠れています」オークニーを象徴するヘザーを意識して、日本を象徴する桜を使用したという黒田シェフ。桜の塩漬けの甘じょっぱさとガナッシュの複雑な甘みが、香り高いハイランドパーク12年のストレートと実に良く合います。

桜チャイマカロン

 「今回、ハイランドパークのボトルとパッケージがリニューアルされて、よりシンプルで中性的な雰囲気になりましたよね。おかげで、より華やかな見た目のフードにも合わせられるようになったな、と感じます」
 食材同士の持ち味をぶつけ合うことで、新たな魅力を引き出したいと話す黒田シェフ。常にそうした姿勢で料理に向き合うからこそ、伝統を敬いつつも果敢に創造的破壊に挑むハイランドパークには共感を覚えますね、と笑顔で話してくれました。

知れば、もっと楽しくなる。
ブランドマネージャー直伝「ハイランドパークセミナー」

 所変わって中央ステージでは、先述の藤井氏によるテイスティングセミナーが開かれていました。セミナー冒頭、藤井氏は参加者に次のように語りかけます。「2025年はハイランドパークにとって”夜明けの年”となります。オークニーの素晴らしい自然と職人たちの妥協なきクリエイティビティを最大限に伝えるため、私たちは今、新しいコミュニケーションへとたどり着きました。それが、『Different by nature(生まれながらにして違う)』です。みなさん、新しいハイランドパークの世界へ、ようこそ!」

「酒齡の秒数だけ、舌の上に載せてみてください」

 いよいよ、お待ちかねのテイスティングの時間です!藤井氏によれば、ウィスキーのテイスティングにおいて大事なことは、まずは色を見て、香りをかぎ、そして舌で楽しむことだといいます。セミナー参加者たちを見ると、手慣れた様子でグラスを掲げ、その豊かな色と香りをめいめいに楽しんでいる様子。いよいよ口に含んだ後は、舌の上で転がすようにして味わうよう藤井氏がアドバイスを送ります。
 「グローバルアンバサダーのマーティン・マークバードセン氏は、私にこんなことを教えてくれました。『ウィスキーが12年ものなら、12秒間は舌に載せてごらん。口の中でゆっくりと回しながら、香りをすべて覚えられるぐらいに楽しむんだ』と。私は今でも、この教えを大事にしています。すべてのウィスキーには語るべきバックグラウンドと、美しい味わいがありますから」

 ハイランドパーク12年のテイスティングノートは、ヘザーハニーのような甘い香りと、オレンジのフレッシュな香り、最後にピーキーなスモーキーさがやってくる、とされています。けれども藤井氏は「味わいを主体的に感じるのはみなさんご自身。どうか感じるままに評価していただきたい」と語りかけます。

 続くハイランドパーク15年は、明るみを帯びた美しいゴールド。12年と比べてもさほど濃い色味に見えないのは、アメリカンオークのシェリー樽を多く使用しているからだといいます。その味わいは、フレッシュでありつつもどこかトロピカル感さえ感じるリッチさが際立ちます。

 最後のハイランドパーク18年を前にして、藤井氏は次のように話します。「実は、18年もの歳月をかけてウィスキーを熟成させるのは、簡単な作業ではありません。ただ幸いなことに、オークニーは寒暖差の少ない冷涼な土地です。おかげで樽の中でゆっくりと熟成が進み、結果的に長い年月に耐えうる原酒を数多く生み出すことができるのです」

18年の味わいの鍵を握るのは、ヨーロピアンオークのシェリー樽。藤井氏によれば、15年よりもさらにリッチなドライフルーツやチョコレートの香りと、ベルベットのようななめらかさ。それが18年の特徴だといいます。「何よりも、最後に鼻へと抜ける香りの中に『アロマティックなスモーキーさ』を感じるはずです。これこそが、オークニーの自然が生んだハイランドパークを唯一無二の存在たらしめている味なのです」

今回、時代の流れに臆することなく、未来に向けた一歩を大きく踏み出したハイランドパーク。その前途を祝して藤井氏は、参加者たちと共にヴァイキング式乾杯の音頭「スコール!」の掛け声をあげてセミナーを締めくくりました。

より愛着の湧く一本になる。ボトルレタリングサービス

 会場でハイランドパークを購入された方には、数量限定でボトルへのエングレービングサービス(文字入れ)が行われました。担当するのは、カリグラフィーアーティストの井波 麻里衣氏。ヘザーの花が舞うラベルに、酒齡を表す金の箔押し。その真上に自分の名が優雅にカービングされる様を見ているだけで、ハイランドパークへの思い入れがより一層深まっていくのが感じられます。

ハイランドパークの今後の展開に、乞うご期待!

今回のローンチイベント「Different by Nature Experience」で披露されたのは、装いも新たなハイランドパークの、ワクワクするような世界観。そこには、オークニー島の稀有な自然環境と、そこに住まう人々のクリエイティブなマインドが存分に反映されていました。オリジナリティあふれる出自だからこそ、世界に2つとないスコッチをつくることができる。そんなシンプルにして力強いハイランドパークのストーリーは、今後もさらなる展開で私たちを楽しませ、魅了してくれることでしょう。

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